会社は、着実に事業で業績を伸ばし資金繰りをしていくものだが、残念ながら投資家を騙し詐欺的な資金調達を行う会社もいる。サイバーエージェントの藤田晋氏とDeNAの南場智子氏との対談記事でもあったが、詐欺師と成功者は、紙一重な部分がある。もちろん多くの起業家は自らが描いた未来を純粋に実現できると考え、投資家にプレゼンしている。しかし、意図して詐欺的な資金調達を行い、投資家から資金を搾取している悪者も少なからず存在するのだ。更には、グループ会社に資金を流し横領され、その結果、未入金となる取引先はたまったものではない。純粋無垢な起業家なのか詐欺師なのか表向きは分からないかもしれない。結果次第であるからこそ、詐欺師と成功者は紙一重なのだ。

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株式会社東京美食Laboとは?

会社名:株式会社東京美食Labo
代表取締役:上田剛史
取締役:酒井まりえ、大森順方、大竹幸信
執行役員:吉川静江
監査役:堀公人
主幹事:SMBC日興証券株式会社
監査法人:RSM清和監査法人
証券代行:三井住友信託銀行株式会社
顧問:AZX Professionals Group
住所:東京都渋谷区広尾5-4-16
ホームページ:https://company.tokyo-b-labo.com/

検索エンジンで「東京美食ラボ」と検索してみていただきたい。すると、サジェストに「詐欺」と出てくる。サジェストはユーザーの検索行動に合わせて表示されるものなので、詐欺的だと考え検索しているユーザーが一定数いることを意味する。

そして、取締役の酒井まりえ氏は事件屋として名高い、酒井勝一氏の妻であるというタレコミが入った。酒井氏がどのような人物なのか、酒井氏が起こした事件は以下の記事を参照されたい。

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背後にこのような人物がいるのにも関わらず、2026年に上場申請するというのだ。
主幹事のSMBC日興証券株式会社はどこまで把握しているのか不思議である。
編集部では現在、SMBC日興証券株式会社に事実確認をしている。回答があり次第更新する。

株式会社東京美食Laboの運営する事業は?

株式会社東京美食Laboのホームページにある「2026年IPO 上場準備 投資家用公開資料 事業計画書」には、生産から販売をつなげるONLY ONE BUSINESSの推進:「6次産業化」とある。6次産業とは、農林水産物を生産する1次産業に加えて、加工や販売などの2次産業、3次産業までを一体的に行うことで、付加価値を高め、農林水産業の所得向上を目指す取り組みのことであるが、具体的な事業戦略の記載はない。
どうやらカレーに自信があるようで、全ての経営資源をカレーと掛け合わせ事業開発をするとある。カレーで上場するとでもいうのだろうか。できるのかもしれないが、その戦略の具体性は資料からは感じとれなかった。

焼きたて食パン専門店 一本堂を乗っ取り?

そして、東京美食ラボのホームページには「パンの職人 by 一本堂」というブランドがあるが、これは株式会社ダイヤモンドフード(旧会社名:株式会社ダイヤモンドテーブル)が経営しており、焼きたて食パン専門店 一本堂を買収し名称を変更したようだ。

【株式会社ダイヤモンドフード会社概要】
株式会社ダイヤモンドフード
所在地:東京都新宿区富久町22-2
TEL:03-5315-0107
設立日:2012年2月
代表取締役:近藤智裕
顧問:諌山立雄、内山裕史
資本金:3,000,000円
事業内容:焼きたて食パン専門店「パンの職人」の運営・FC事業

調べてみたところ、焼きたて食パン専門店 一本堂はもともとIFC株式会社が本部運営し、フランチャイズ展開をしていた。そのIFC株式会社を買収し、東京美食ラボの上田剛史氏が代表に就いた。
ではなぜ「一本堂」という商号を使わずに、わざわざ「パンの職人」なのだろうか。それは、商標の権利者が影響していそうだ。商標を調査すると分かることだが、一本堂の商標は株式会社ビタミン社と谷舗治也氏個人が保有している。IFC株式会社は商標権を保有していなかったのだ。

そして、その買収劇を物語る週刊新潮の記事があったので転載する。
契約内容は、IFC株式会社の全株式と東京美食Laboの発行済株式の2%にあたる1,000万株及び現金1,400万円を交換するというもの。なおかつ、東京美食Laboが上場した際には2億円を受け取れることにもなっていた。ところがその1,400万円は支払われることはなかったという。東京美食ラボは契約役務を果たさず乗っ取った格好だ。”うまい話”には気をつけないといけないが、他の企業にも同じように”うまい話”をもちかけているのだろうか。

代表取締役 近藤智裕氏からの悲鳴。実態支配者は酒井氏。

他にも編集部では株式会社ダイヤモンドフードの代表取締役である近藤智裕氏から取引先に送られた案内文を入手した。案内によると、近藤氏の言い分はこうだ。上述の酒井氏に会社の印鑑を奪われ、売上金も酒井氏が管理する口座へ入金するように指示があった。近藤氏は代表取締役に就いたまま実質的な経営権を失い、取引先への支払いが遅延するようになった。更には日本年金機構から滞納保険料の差し押さえがなされ、会社再建は困難になった。代表取締役辞任も印鑑が手元にないため自身では準備ができない。現在は東京美食ラボの上田剛史氏が代表取締役に就き、本店は東京都渋谷区広尾5-4-16(株式会社東京美食Laboの所在地)に移っているという。

株式会社東京美食Laboはどこが詐欺的なのか?

・焼きたて食パン専門店「パンの職人」は店舗もなく実態がない。
・焼きたて食パン専門店「一本堂」の商標権利を保有していない。
・加盟店からの売上金が仕入れ先に払われず、酒井氏管理の口座に流れている。

【まとめ】株式会社東京美食Laboは詐欺的なのか?

このような実態がある中で正確に説明せず投資家から資金調達を行っているとするならば、詐欺的であるといえよう。

編集部では株式会社東京美食Labo(代表取締役:上田剛史)に関する情報提供をお待ちしております。